見逃してはならない投球障害のサイン

野球による投球時の肩や肘の痛みは、「疲労」によるものとそうでないものがあります。
3日間以上続くような痛みがある場合、それは野球特有の「投球障害」のサインかもしれません。
投球障害を抱える選手はプロ野球選手だけの話ではなく、少年野球や高校野球にも多く存在しています。
肩や肘の痛みの正体とは?
日々の投球練習や試合によって肩や肘に痛みや違和感を感じる選手が多くいます。
- 肩や肘が重い、だるい
- リリース(指先からボールが離れる)の瞬間に肘が痛む
- 投球時に腕が上がりにくい
- ボールに指がかからない
こうした違和感をそのままにしてしまうと、選手生命を左右する重大な障害につながる可能性もあります。
なぜ投球で肩や肘に痛みが出るのか?
投球時や投球後に肩や肘に痛みが出る原因には様々な理由が存在します。
肩関節・肘関節にかかる大きな負担
肩は可動域が広く自由度が高い反面、構造的にはとても不安定です。
一方で、肘は自由度が低く安定度が高い構造で、さらに強固な靭帯で支えられています。
2つの異なる構造を持つ関節が隣り合い、複雑に相互作用しながら投球動作を行っています。
また、投球動作は下肢(脚)から受けたエネルギーを体幹(胴体)、上肢(腕)へと伝達させる特性があります。
これらの全身の関節可動域や筋力などに、何らかの原因でエラーが起こると投球フォームが崩れます。
投球フォームが崩れたまま繰り返しの投球を行うことにより、肩や肘に負担が集中しやすくなります。
若年選手ならではの「オーバーユース」

成長期の体にとって、度重なる投球はかなりの負担になります。
高校野球では、練習や試合が続くことも多く、回復の時間が不足しがちです。
成長期特有の未発達な骨・筋肉・軟骨にストレスが集中する上、疲労が蓄積し、軽い痛みが慢性化するケースも多く見られます。
肩の代表的な障害とその症状
インピンジメント症候群
主な原因: ローテーターカフや肩甲骨周囲筋の機能低下
主な症状: 投球時(特にコッキング時やリリース時)の肩関節の引っかかり、肩の外側や前側が痛い
SLAP損傷
主な原因: リリースからフォロースルーの牽引ストレス
主な症状: 肩の奥の痛み・引っかかり
腱板損傷
主な原因: フォロースルーの牽引ストレス
主な症状: フォロースルー時に肩の後ろ側が痛い・腕があがりにくい・力が入りにくい
肘の代表的な障害とその症状
野球肘(内側型)
主な原因: 靭帯の牽引ストレス、内側側副靭帯損傷
主な症状: アクセレレーションの痛み・肘の伸展時痛・圧痛
野球肘(後方型)
主な原因: 骨(肘頭)への衝突ストレス、肘頭疲労骨折
主な症状: リリース時の肘後方の痛み・肘の伸展時痛・圧痛
野球肘(外側型)
主な原因: 外側の骨同士の衝突ストレス、離断性骨軟骨炎
主な症状: アクセレレーションやリリースの肘の外側の痛み・肘の曲げ伸ばし制限・圧痛
当院での野球に特化した評価とアプローチ
当院では、高校野球チームでのトレーナー実績を持ち、プロ野球選手のパーソナルトレーナーのスタッフが対応いたします。
「なぜ痛くなったのか?」も「どうすれば改善するのか?」も一人ひとり違います。
その原因の分析と改善策の提案を、一人ひとり丁寧に対応し、再発しない投球動作の習得を支援します。
また、必要に応じて野球専門医への
痛みを感じたら
痛みがある状態で投げ続けることは絶対に避けましょう。
早期の専門評価を行い対処していくことが、復帰への近道です。
また、痛みがなくなったからといって、同じ投球フォームで復帰しても再発するのは時間の問題です。
「野球」に特化した視点での評価とアプローチで、正しいフォームを習得し、再発しない体づくりを行うことが最も効果的です。
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